物質化学工学科



研究室探訪

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Comments by Professor (2009年度)

老化や病気の原因物質となる,活性酸素を研究

尾形 健明 研究室 (無機化学・フリーラジカル化学・磁気共鳴化学・生体計測化学) 環境エネルギー化学分野

呼吸で取り入れた酸素の一部は反応性の高い活性酸素に変換され,老化や病気の原因物質となります.そこで,活性酸素をリアルタイムで検出することができる計測技術を関発し,動物や植物における活性酸素の発生や影響を調べることが研究テーマ.

また,この成果をもとに活性酸素を消去する食材を探索し,健康維持の方法を研究しています.これまで,世界に先駆け,生体を生きたままの状態で測定することができる「電子スピン共鳴(ESR)画像装置」の開発を行いました.この方法を動物や植物に応用し,ストレス負荷において活性酸素が関与する生体内レドックス状態の変化を観測することに成功.さらに,活性酸素の発生に至るまでの生体内情報の伝達メカニスムを明らかにしていくことにも取り組んでいます. また,米沢藩の上杉鷹山公が植栽を奨励した落葉低木「ウコギ」の葉に,活性酸素を消去する高い能力かあることを発見.今後は,この「うこぎ」を利用した高機能健康食品を開発し,ブランド化を目指します.尾形先生の研究は,装置の試作開発,活性酸素検出試薬の合成,動物実験や植物の測定など多岐にわたっています.

Comments by Professor (2008年度)

ハイテク産業のリーダー育成にも確かな実績を誇る

泉 多恵子 研究室 (有機化学・有機合成化学) 機能分子化学分野

この研究室のテーマを端的に表現すると,分子レベルでの"ものづくり″です.機能性のある新規な有機分子の合成や新しい反応方法を開発しています.自然界で生命体が行っている反応を今やフラスコの中で起こすことが可能です. さまざまな条件検討を加えて目指した化合物が合成できた時や期待した反応が起こることが分かった時の達成感には格別なものがあります.

これまでの研究成果としては,有機金属触媒を用いた新しい反応の開発を中心に,新規な機能性分子の合成を進めてきました. また,近年,重要性を増すばかりの光学活性な化合物の分野でも成果を収めています.教育としては,グリーンケミストリー(環境に優しい有機合成化学)の重要性をしっかり教育して行きたいです.本学科では将来的には理科(イヒ学)の教職単位も取れるようなカリキュラムヘと準備中です. また,日本技術者認定機構から認定された教育プログラムで,世界に通用する化学技術者を育てており,卒業時には卒業証書のほかに認定証が授与されます.学ぶことの面白さを知ることで,学生たちはどんどん成長してゆきます.入学時の初心を忘れずに学んで,一人前の化学技術者を目指してみませんか.

こんな研究やってます! 研究室探訪(2007年度)

カオス混合で世界初の無機カプセルの作製に成功.

高橋 幸司 研究室 (液体混合工学) 環境エネルギー化学講座

プラスチック,紙,ガラス,薬,食べ物,飲み物等はすべて液体混合操作で作られている.洗濯や料理も液体混合操作.この操作が工業で行われると設備は大がかりなものになり,必要な熱や圧力も膨大になる.

通常,液体混合は円筒形の大きな釜の中に撹拌(かくはん)翼を入れてそれを回転させて行う.その撹拌翼の設計や操作条件を明らかにするのが液体混合の研究である.早く混合するためには早い回転数で撹拌翼を回せばいいと思うが,必ずしもそうではないようだ.

「回転数を急激に落としたり,逆方向に回したり,また固体球を入れたりすると混合が早くなることがわかってきました.このような方法をカオス混合と呼び,この方法で世界で初めての無機カプセルの作製に成功しました」というのは高橋先生.

化学反応のメカニズムが正確に理解できれば,それに応じた適切な液体混合操作を選定することができ,バイオ,半導体等,先端の科学技術への応用は限りなく広がってゆく.世界に先駆けて,高橋研究室では”空間的カオス混合”の研究が進められている.

こんな研究やってます! 研究室探訪(2006年度)

次世代型の有機電子材料を開発.
「ものづくり」の醍醐味を味わえる研究.

大場 好弘 研究室 (有機化学,分子認識学) 機能分子化学講座

大場研究室では,有機電子材料,医薬品,有機金属触媒,分子認識機能材料など,いわゆる機能性材料の有機合成化学を研究.高校で学ぶ有機化学の基礎知識を発展させ,「これはこんなことに役立つのではないか」と予想した有機化合物を一段階ずつ作り上げていく.

大場先生が最近特に力を入れているのは有機電子材料の研究開発だ. 「研究の初期には新規で高機能なホール(プラスイオン)輸送材料の開発を開始しました.現在のコピー機に使用されている感光材料などに利用される有機化合物ですが,当時,従来品の10倍以上の機能が出てとてもうれしかったのを覚えています 」.

さらに,その化合物には別の機能もあることが判明.現在のところ,電子材料として複数の機能を持つものは知られていない.それだけに 「非常に感動した 」と先生は振り返る.

「この研究は今後有機ELとしてさまざまな電気製品に使用されていくと思います.有機ELを用いた大型ディスプレイや携帯電話など,電気節約型商品には不可欠の電子材料です 」.

多賀谷英幸教授に聞く
超臨界流体で循環型社会を実現する新技術

石油をはじめとする化石資源の枯渇は,もう目の前に迫った問題ですが.

石油はあと50年ほどで無くなると言われています.私たちは石油を原料に膨大なプラスチック材を生産し廃棄してきました.しかし,この廃プラスチック材は,ゴミではなく21世紀の重要な資源です.これをリサイクルし循環型社会を実現することが必要です.

この問題を解決する超臨界流体とはどんなものですか.

超臨界反応装置

超臨界流体は,気体,液体に次ぐ第三の流体と呼ばれています.身の回りに存在するどの物質も高温・高圧では超臨界状態になります.例えば,水を箱に閉じ込め,高温・高圧にすると超臨界流体になります.この状態では,水の性質が著しく変化し,油と溶け合うようになります.私の研究室では,超臨界状態の水の特異な性質を利用し,プラスチック材料の分解により原料をリサイクルする技術の基礎研究を行っています.無害な水を利用しているので地球環境にもやさしい新技術なのです.この他にも超臨界流体は,食品,化学製品,医薬品などの分野で使われてきた有機溶媒に代わる無害なものとして応用できます.

これから物質化学工学科を目指す高校生へメッセージをお願いします.

教育や研究には,環境,エネルギー,素材,バイオ,健康など,21世紀の社会に要求されるキーワードの全てが,ちりばめられています.クラブ活動や研究室生活では,貴重な出会いや経験があり,多くの思い出ができることでしょう.大学で潜在能力を開花させ,また新たな潜在能力の目を養ってください.待っています.