物質化学工学科



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2005.05.26
多賀谷英幸教授がプラスチック化学リサイクル研究会進歩賞を受賞

賞状

多賀谷英幸教授は、「熱硬化性樹脂の超臨界水によるケミカルリサイクリングにおける研究(Research on Chemical Recycling of Thermorigid Plastics in Supercritical Water)」において、プラスチック化学リサイクル研究会から平成17年度進歩賞(FSRJ Award for Advanced Research)を授与されました。

進歩賞は、超臨界水によるフェノール樹脂のケミカル・リサイクル手法を研究、提唱した多賀谷英幸氏に贈る。

多賀谷氏のこれまでの研究成果として、超臨界水を用いたフェノール樹脂モデル化合物とフェノール樹脂成形材料の分解反応が代表として挙げられる。熱硬化性樹脂で あるフェノール樹脂は、熱的に安定なメチレン鎖で結合しており、エーテル結合など多くの結合鎖が切断されうる通常の加熱条件(400℃)でも分解困難であることが 知られている。先ず、多賀谷氏は、フェノール樹脂モデル化合物として、メチレン結合を有する三種類の化合物について、高温下での超臨界水中で反応を試み、溶剤無し の単体では熱分解困難なこれらモデル化合物が容易に分解し、その構成成分であるフェノールやクレゾールを与えることを発見した。次いで、少量のアルカリ化合物の添 加がこの分解反応に効果的であることを見出し、フェノールとクレゾールの高い回収率を収めている。

また、同氏は、フェノール樹脂プレポリマーと共存物質とから製造されるフェノール樹脂成形材料においても、プレポリマーは容易に分解されることを確認し、回収さ れたフェノールなどの構成単位の収率は、非常に高いものとなった。さらに、安定性、強度の高い材料として工業製品に用いられるフェノール樹脂成形材料を粉末化 し、高温水中での反応を試み、モデル化合物同様にフェノールやクレゾールを生成することを証明した。通常の水のみの熱分解反応では、大変低いフェノールの回収率で あったが、アルカリ化合物の添加により、1時間の反応で成形材料に対し3割以上のモノマー収率を得ている。この実験系で用いた成形材料は、5割強の共存物質の木粉 を含有し、プラスチック成分に対するモノマー収率は6割以上と見積もることができ、モデル化合物の分解結果と一致している。

これらの重要な結果より、同氏は、高温下の超臨界水中における分解反応がフェノール樹脂成形材料に対して、効率的なリサイクル・プロセスになりうることを立証した。

以上のように、多賀谷氏は超臨界水による熱硬化性樹脂のケミカル・リサイクル手法の研究にいち早く取り組み、研究成果を収めており、更なる発展が期待できる。こ の科学的な創造性、発展性に富む業績に進歩賞を贈る。